4月から10ヶ月手入れをしてきた醤油もろみを2月、寒い時期に搾ります。
樽のなかのもろみの上下をかえしながらもろみの大豆のなかで行われている発酵に想いをはせます。そっとつぶさぬようにそっと返します。
寒くなって発酵がおこなわれなくなるとそっとします。
できるだけそっとします。手をかけるところだけ手を貸します。
子育てとおなじです。手を入れすぎるとつぶれてしまい、手のかかる、または手に負えないもろみになります。
この搾る機械をふねといって杉の木でできています。
各地をこのフネをもった搾師さんがまわって醤油のもろみの様子をみながら搾っていきます。
お湯でもろみをとき、それをしっかりとした袋に入れ、重ねるとそれだけでぽたぽたとしたたりおちてきます。圧をかけるとさらにぽたぽたと醤油が出てきます。
最初と途中と最後とそれぞれ違った香り、味の醤油。
三つの樽をこの日はしぼりましたが、同じもろみからできた醤油ですが、それぞれ香りも味も違っています。
「育てる」というのはこういうことなのだと思います。
醤油を搾ったあとのもろみの粕でクッキーを焼きました。